お茶は苦いほどいい?濃いほどいい?
茶卓ではよく、「このお茶はしっかり苦い、いいお茶だ!」「濃いめに淹れてこそ味がある」という声を聞きます。こうした言葉にはそれなりの由来がありますが、正しいのは半分だけです。苦みと濃さはお茶の特性であって、品質の基準ではありません。
プーアル茶は苦いほどいい?
違います。苦みはお茶の味わいの一つで、カフェイン、一部の茶ポリフェノール、アミノ酸などの成分から来ています。生まれつき苦みの土台がはっきりした産地のお茶もあれば(たとえば布朗山(プーラン山)や老曼峨(ラオマンオー)一帯)、甘くやわらかいことで知られる産地のお茶もあります(たとえば氷島、易武)。どちらもよいお茶になり得ます。
お茶の世界で本当に重視されるのは、「苦みがほどけるかどうか」です。
- ほどける苦み:口に含むと苦みがあり、数秒で消えて回甘(後から返ってくる甘み)と生津(口の中に唾液が湧く感覚)に変わり、口の中に甘さが残ります。これを好む茶好きは多いものです。
- ほどけない苦み:苦みが舌の上に居座り、飲むほどに重くなり、飲み終わった後も口の中が苦く乾きます。これはたいてい原料や製茶の問題か、淹れ方が強すぎるためです。
老曼峨には「苦さ」で知られるお茶があり、茶好きが好むのはまさに苦みの後の回甘です。氷島のお茶は苦渋みが少なく、茶好きが好むのはその甘さです。スタイルが違えば、それぞれに愛好者がいます。産地の説明は布朗山の五つの村と氷島老寨をご覧ください。
苦みは品質がよい証拠?
違います。苦みの強いお茶が必ずよいわけでも、苦みの弱いお茶が必ず劣るわけでもありません。品質を判断するなら、全体を見るほうが確かです。
- 香りがすっきりしていて長く続くか;
- 茶湯が澄んでいるか;
- 苦渋みがほどけ、回甘がはっきりしているか;
- 口当たり(湯感)に厚みがあるか;
- 葉底が整っていて、弾力があるか。
味わい方はプーアル茶の味わい方、回甘については回甘と生津をご覧ください。
濃いお茶のほうがいい?
濃さは淹れ方の選択です。茶葉が多く時間が長ければ茶湯は濃く、茶葉が少なく時間が短ければ薄くなります。同じお茶でも:
- 濃く淹れる:香りと味が凝縮され、長所も短所も強調されるので、真剣に味わったり比べたりするのに向いています。
- 薄く淹れる:口当たりがやわらかく、甘さを感じやすいので、普段使いに向いています。
審評師が審評するときは茶と水を 1:50 の割合にして 2 分と 5 分浸出しますが、その目的はお茶の長所と短所をはっきり見ることです。普段お茶を飲むときは 1:15~1:20 で十数秒で注ぎ出すことが多く、目的はおいしく飲むことです。目的が違うだけで、どちらが上ということはありません。濃すぎて苦すぎるお茶は、自分が飲むのにつらいだけで、よりよいものを味わっていることにはなりません。濃さの調整は苦すぎる・渋すぎるときはをご覧ください。
苦みと渋みは違う
- 苦み:舌、特に舌の奥で感じる味。
- 渋み:口の中が収斂し、乾き、引き締められるような感覚。
「すごく苦い」と言う人の多くは、実は渋みを感じています。この二つは原因も対処法も違います。苦みと渋み:別々の二つのものをご覧ください。
初心者は苦いお茶から慣らすべき?
その必要はありません。お茶は苦さを我慢する競争ではありません。好きな味から始めてこそ、ずっと飲み続けられます。
- 熟茶か、甘くやわらかい生茶から始める:熟茶は赤く濃くまろやかで、苦渋みがとても少ないお茶です。氷島や易武のような甘くやわらかいタイプの生茶は、苦渋みが軽く、すぐにほどけます。
- 薄めに淹れる:茶葉は少なめ、時間は短めにして、まず甘さを感じましょう。
- 少しずつ濃くする:楽しくなってきたら、濃いめの淹れ方や苦みの土台がはっきりした産地を試し、苦みの後の回甘の奥行きを感じてみます。
- よく比べる:二種類のお茶を同時に淹れて並べて飲むのが、自分の判断基準を作る一番の近道です。
最初の一つの選び方は初めてのプーアル茶の選び方をご覧ください。古韻堂の氷島老寨 龍珠は生茶で、氷島産地は甘くやわらかい味わいが持ち味。一粒 8 g なので、生茶から始めたい方にも向いています。
苦いお茶は長く置くと甘くなる?
生茶の苦渋みの成分は保管中にゆっくり変化するので、同じお茶を数年置くと、たいていやわらかくなります。ただし製茶や原料が原因の苦みは、長く置いても変わらないことがあります。ですから新しい生茶を買うとき、苦いから必ずよいとも、苦いから必ず悪いとも決めつけず、苦みがほどけるかどうかを見ましょう。
よくある質問
プーアル茶は苦いほどいい? 違います。お茶の世界で重視されるのは、苦みがほどけて回甘に変わるかどうかです。苦みの強弱は産地のスタイルで、どちらもよいお茶になり得ます。
濃いお茶のほうがいい? 濃さは淹れ方の選択です。濃く淹れるのは味わいや比較に、薄く淹れるのは普段使いに向いていて、上下はありません。
苦みは品質がよい証拠? 違います。品質は香り、水色、苦みがほどけるか、回甘、口当たり、葉底の全体で見ます。
初心者は苦いお茶から慣らすべき? その必要はありません。熟茶か甘くやわらかい生茶を、薄めの淹れ方で始め、楽しくなってから少しずつ試していきましょう。