沱茶:お椀形のプーアル茶と下関
沱茶を裏返すと、裏側には深いくぼみがあり、表側は丸いドーム形で、伏せた小さなお椀のようにも、鳥の巣のようにも見えます。この形は、大理の下関という町とほとんど同義になっています。
沱茶の形
沱茶はプーアル茶の国家標準でいう「碗臼形」の緊圧茶で、表は丸いドーム形、裏の中央がくぼんでいます。よくある100グラムの沱茶で、外径約8センチ、高さ約4.5センチです。くぼみがあることで中心が厚くなりすぎず、乾燥時に水分が抜けやすく、運搬中にも割れにくくなっています。
沱茶という名前の由来
沱茶の名前の由来には、いくつかの説が伝わっています。
- 沱江説:かつて下関の沱茶は大量に四川へ売られ、沱江一帯を経由して運ばれ販売されたことから名づけられた。
- 団茶説:昔の緊圧茶はよく「団茶」と呼ばれ、「団」の現地での発音が「沱」に近かったため、やがて沱茶と書かれるようになった。
- 形状説:「沱」には固まりになるという意味があり、茶がひと固まりに圧されたことを表している。
どの説にも決定的な文献はなく、茶の世界ではたいてい並べて紹介されます。
沱茶と下関
一般には、1902年に大理・喜洲の商人グループ「永昌祥」が下関で沱茶を創製したとされています。雲南各地の毛茶を使い、下関で加工して四川やチベットなどへ売っていました。1941年には下関に康蔵茶廠が設立され、チベット族地域や四川向けの緊茶を生産しました。1950年代に国営化され、これが後の下関茶廠です。
下関の沱茶には生沱と熟沱があり、定番品には甲級沱茶や海外向けの沱茶などがあります。2011年には「下関沱茶製作技藝」が国家級無形文化遺産のリストに登録されました。茶工場の沿革と代表的な製品は下関茶廠:沱茶と鉄餅とV93と下関沱茶の定番でお読みいただけます。
下関のほか、勐海や昆明をはじめ多くの茶工場も沱茶を作っており、重慶などにも独自の沱茶の伝統があります。原料や製法はそれぞれ異なります。
沱茶の重さ
| 規格 | よくあるケース |
|---|---|
| 3〜5グラム | 小沱茶、一粒で一回分 |
| 100グラム | もっとも定番の規格 |
| 250グラム | 大きめの沱茶 |
| 500グラム以上 | まれで、多くは記念品 |
伝統的な100グラムの沱茶は、5個を一本にして紙で包み、小売りしやすくしていることがよくあります。小沱茶は箱入りや缶入りで売られることが多く、オフィスや旅行にぴったりです。
沱茶の崩し方
沱茶の多くは固く圧されており、崩し方は餅茶とは少し違います。
- くぼみから攻める:くぼみの内側の縁がいちばんよい出発点です。茶針を斜めに差し込み、外側へこじます。
- 縁から攻める:お椀の縁の側面に沿って差し込み、一層ずつはがします。
- 丸ごと蒸して柔らかくする:沱茶を丸ごと1〜2分湯せんで蒸してからほぐす人もいますが、ほぐしたお茶は完全に乾かしてからでないと保存できません。
- 小沱は崩さなくてよい:3〜5グラムの小沱はそのまま蓋碗に入れます。
沱茶の淹れ方
- 蓋碗:7〜8グラムを崩し、生沱は95〜100°C、熟沱は100°Cで。沱茶は固く締まっているので、洗茶の後に少し水を吸わせ、最初の二、三煎は普通の餅茶より5〜10秒長めに待ちます。
- 小沱:一粒を100〜150ミリリットルの蓋碗に入れ、1〜2回洗茶し、最初の数煎は15秒前後、茶の玉が開いてきたら短くしていきます。
- 煮出し:熟沱は特に煮出しに向いています。方法はプーアル茶を煮出すをご参照ください。
沱茶とほかの小分けのプーアル茶
小沱茶も龍珠も一粒で一回分の形です。小沱は型でお椀形に圧したもの、龍珠は手で丸めて形を固めたもので、両者の比較は龍珠:一粒で一回分の小さな沱茶をご覧ください。
沱茶の保存
沱茶は伝統的に5個を一本にして紙で包んであるので、保存するときは元の包装を残し、清潔で風通しがよく、光が当たらず匂いのない場所に置きます。沱茶は固く圧され中央にくぼみがあるため、変化の速さはゆるめの餅茶と鉄餅の中間です。崩した沱茶は茶缶に入れ、残りは元の紙で包みます。小沱茶は龍珠と同じく、箱ごときちんと閉じ、生と熟を分けておけば十分です。
生沱と熟沱
沱茶には生も熟もあります。生沱は新茶のうちは香りが高く味が濃く、保存することで変化していきます。熟沱は赤く濃くまろやかで、できあがった時点で飲みごろです。下関の沱茶は茶好きの間で、味が濃く力強い、パンチがあるとよく言われ、これは原料と配合に関係しています。沱茶を選ぶときは、まず小さな規格で試し、気に入ったら100グラムや250グラムの定番規格を買うとよいでしょう。
よくある質問
沱茶はどんな形ですか? 碗臼形で、表は丸いドーム形、裏の中央がくぼんでおり、伏せた小さなお椀のような形です。
沱茶という名前の由来は? 四川の沱江から来たという説、「団茶」の発音が変化したという説、形からという説があり、定説はありません。
沱茶の重さは? 定番は100グラムで、250グラムや一粒3〜5グラムの小沱茶もあります。
沱茶はどう崩しますか? 裏のくぼみの内側の縁か側面に茶針を斜めに差し込み、一層ずつはがします。小沱茶は崩さずそのまま淹れます。