小青柑:柑橘の皮に詰めた熟茶
ここ数年、茶席でよく見かけるようになった小青柑(しょうせいかん)。見た目は青々とした小さな柑橘の実ですが、開けると中には熟茶が詰まっています。柑橘の皮の爽やかな香りと熟茶のまろやかさを兼ね備え、淹れると香りが親しみやすく、持ち運びにも便利なため、プーアル茶に触れる最初の入り口になっている人も少なくありません。
小青柑とは
小青柑には一般に、広東省新会一帯の柑橘が使われます。実がまだ青く色づく前に摘み取り、頂部に小さな穴を開けて果肉をくり抜き、熟茶を詰めてから乾燥させて形を整えます。乾燥と保管の過程で柑橘の皮と熟茶の香りが溶け合い、独特の柑橘の香りが生まれます。
なぜ7~8月に摘むのか
小青柑には未熟な青い柑橘が使われ、摘み取りは毎年おおよそ7~8月です。この時期の実は小さく、皮が締まっていて香りが清冽で、くり抜くとちょうど一回分のお茶が収まる大きさになります。秋から冬にかけて実が黄色や赤に色づくと、また別の用途になります。
三つの乾燥方法
小青柑の風味は、乾燥方法によって大きく左右されます。
| 方法 | やり方 | 風味 |
|---|---|---|
| 天日干し(生曬) | すべて日光で自然乾燥 | 柑橘の香りが甘く穏やか、皮に弾力があり価格は高め |
| 半天日干し | まず日に干し、その後低温の乾燥機で補助 | 爽やかな香りと安定性を両立、市場でもっとも一般的 |
| 機械乾燥(烘乾) | 乾燥設備で乾かす | 柑橘の香りがストレートで強く、生産量が安定 |
いずれの方法でも、乾燥はしっかり行う必要があります。そうすることで柑橘の皮とお茶が湿気を帯びにくくなります。
皮の表面の白い粉
小青柑の表面に細かい白い粉が付いていることがあります。これは主に、皮に含まれる精油成分(おもにリモネン)が保管中に析出し、結晶化したものです。カビの綿毛とは違います。白い粉は細かく均一で、柑橘の香りがします。カビは点々と生え、綿毛のような質感で、カビ臭さがあります。
小青柑の淹れ方
丸ごと淹れる
- 小青柑を丸ごと(皮も茶も一緒に)150~200ミリリットルの蓋碗かポットに入れます。
- 100°Cの熱湯で一度、約5~10秒、茶葉を洗います(潤茶)。
- 1~3煎目は約20~30秒。柑橘の皮がゆっくり香りを放ち、茶葉も少しずつ開いていきます。
- その後は一煎ごとに10秒ほど延ばします。
丸ごと淹れるとペースはゆっくりで、柑橘の香りは穏やか。のんびり味わうのに向いています。
割って淹れる
茶針で皮にいくつか小さな穴を開けるか、皮をいくつかに割って、熟茶と一緒に淹れます。柑橘の香りもお茶の味も早く出るので、最初の数煎は10~15秒で注ぎ出せます。濃厚でストレートな味わいです。
皮とお茶を分けて淹れる
割合を自分で調整したい人は、お茶を取り出して、まず皮を3分の1だけ入れ、飲んでみてから足すかどうか決めるとよいでしょう。
保温ボトルで蒸らす・煮出す
保温ボトルで蒸らす場合は、小青柑1個に熱湯400~500ミリリットル、約3~5分で注ぎ出します。ポットに入れて弱火で3~5分煮出すと、柑橘の香りも熟茶の甘みもたっぷり出ます。
小青柑の保存
- 密閉容器か元の包装に入れ、柑橘の香りが抜けないようにします。
- 湿気や強いにおいのものから離して置きます。
- 開封後はできれば数か月以内に飲み切りましょう。皮の香りがいちばんよい状態です。
小青柑とほかの柑普茶
小青柑のほかに、成熟した大きな赤い柑橘で作る「大紅柑普」もあります。皮が厚く香りは甘く熟した感じで、一つの量が多いので、大勢で分けたり煮出したりするのに向いています。どちらも原理は同じで、柑橘の皮と熟茶の組み合わせです。違うのは柑橘の熟し具合だけです。
プーアル茶にはさまざまな形や包装があります。餅・磚・沱・龍珠・散茶:プーアル茶の形をご覧ください。熟茶のまろやかさが好きなら、熟茶の発酵度から知っていくのもおすすめです。
小青柑ひとつの構成
小青柑はおおよそ二つの部分からなります。外側は乾燥させた柑橘の皮、内側はぎっしり詰まった熟茶です。実が小さく皮が締まったものは柑橘の香りが清冽で、実が少し大きいものは熟茶が多く入っていてお茶の味がはっきりします。選ぶときは次の点を見てください。
- 皮:欠けや破れ、カビの点がなく、締まっていること。
- お茶:開口部から見て、熟茶の茶葉の形がはっきりしていて、異臭がないこと。
- 香り:近づけてかいでみて、清潔な柑橘の香りと熟茶の陳香がすること。
皮とお茶の割合
丸ごと淹れる場合、皮とお茶の割合は決まっています。もっと自由に楽しみたいなら、皮をはがして調整できます。
| 好みの味わい | やり方 |
|---|---|
| 柑橘の香りをしっかり | 丸ごと淹れる、または皮を全部入れる |
| お茶の味を中心に | 皮を3分の1だけ入れる |
| すっきりと | 皮とお茶を分け、皮は最後の数煎で加える |
夏の小青柑
小青柑は水出しにも向いています。小青柑1個をいくつかに割り、まず熱湯で一度洗ってから、湯冷まし500ミリリットルに入れて冷蔵庫で8時間。柑橘の香りは爽やか、熟茶はまろやかで、夏に人気の、喉を潤すすっきりしたお茶になります。水出しの基本はプーアル茶の水出し:夏の爽やかな一杯をご覧ください。
贈りものとおすそ分け
一個で一回分の小青柑は量が決まっていて見た目もかわいらしいので、手土産によく選ばれます。贈るときに「丸ごとカップに入れ、まず熱湯で一度洗って、1煎目は20~30秒」といった淹れ方をひとこと添えれば、相手も気軽に楽しめます。
小青柑と大紅柑の比較
| 小青柑 | 大紅柑普 | |
|---|---|---|
| 柑橘 | 7~8月の未熟な青い柑橘 | 秋冬に熟した大きな赤い柑橘 |
| 量 | 1個でおよそ1回分 | 1個を大勢で分けられる |
| 柑橘の香り | 清冽で青さを帯びる | 甘く熟して豊か |
| 向いている場面 | ひとりで、オフィスで | 集まり、煮出し |
淹れ終わった皮
淹れ終えた小青柑の皮は、香りの大部分をすでに出しています。最後の1~2煎で茶殻と一緒に少し煮出して、残った柑橘の香りとお茶の味を引き出してから捨てるとよいでしょう。
よくある質問
小青柑の皮は食べられますか? 小青柑の皮はお茶を淹れるためのもので、淹れた後の皮は通常食べません。
小青柑1個で何回淹れられますか? 丸ごと淹れる場合、通常6~10煎ほど楽しめます。柑橘の大きさと熟茶の量によって変わり、後半は煮出しにも使えます。
小青柑はいつ頃から流行したのですか? おおよそ2014~2016年頃に急速に広まり、その後はごく一般的なプーアル茶の品目になりました。