お茶を淹れる水:同じお茶でも水が変われば味が変わる
昔の人は「水は茶の母」と言いました。同じお茶でも、違う水で淹れれば、香りも甘さも茶湯の質感も変わります。家でプーアル茶を淹れるのに、山の湧き水を汲みに行くほどこだわる必要はありませんが、水の性質を知っておけば、手元のお茶をよりおいしく淹れられます。
軟水と硬水
水の「硬度」とは、水に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラルの量のことです。
- 軟水:ミネラルが少なく、淹れた茶湯は香りがはっきりし、色が明るく、口当たりが柔らかい。
- 硬水:ミネラルが多く、茶湯の色がくすみやすく、香りが抑えられ、口当たりが渋めになる。
プーアル茶を淹れるには、一般に軟水か中程度の硬度の水がすすめられます。台湾の水道水の硬度は地域によって異なり、南部や東部の一部では水がやや硬めです。湯沸かしポットに白い水あかがたまりやすいのは、硬度が高めであるしるしです。
よくある選択肢
ろ過した水道水
もっとも手軽な選択肢です。浄水器で残留塩素や不純物を取り除いてから沸かせば、たいていの場合はとても使いやすい水になります。ろ過した後に少し置いてから沸かすと、塩素のにおいがさらに少なくなります。
市販のミネラルウォーターと純水
- ミネラルウォーター:ミネラルの含有量が少なく、口当たりのすっきりしたものを選ぶと、お茶がよりおいしく淹れられます。ミネラルの多い水では、茶湯がくすみやすくなります。
- 純水、蒸留水:とても軟らかく、淹れたお茶は香りがはっきりしますが、茶湯が薄めに感じる人もいます。一般的なろ過水と比べてみるとよいでしょう。
湧き水
湧き水は品質の差が大きいので、出どころが清潔であることを確かめ、必ず沸騰させてから使いましょう。
お湯を沸かすポイント
- しっかり沸騰させる:プーアル茶には95~100°Cの熱湯を使うので、お湯は完全に沸騰させます。
- 何度も沸かし直さない:同じポットの水を何度も沸かすと水に溶けた気体が減り、茶湯がこもった感じになります。毎回新しい水を使うのがいちばんです。
- 茶器を温めるのを省かない:冷たい茶器に熱湯を注ぐと温度は5°Cほど下がります。先に茶器を温めれば湯温が安定します。
小さな実験をしてみる
2~3種類の水(たとえばろ過した水道水、あるミネラルウォーター、純水)を用意し、同じプーアル茶を、同じ茶葉の量と時間でそれぞれ一杯ずつ淹れて並べて比べてみましょう。
- 湯色を見る:どの杯がもっとも明るいか。
- 香りをかぐ:どの杯の香りがもっともはっきりしているか。
- 口当たりを確かめる:どの杯がもっとも甘く、なめらかか。
一度やってみれば、水の違いが思ったより大きいことがわかり、自分の家にもっとも合った水も見つかります。
水出しに使う水
プーアル茶の水出しには、一度沸騰させて冷ました湯冷ましか、そのまま飲めるボトル入りの水を使い、清潔な容器に入れて冷蔵庫に置きます。作り方はプーアル茶の水出しをご覧ください。
湯温とお茶の関係
湯温が左右するのは濃さだけではなく、味わいのバランスにも影響します。
- 湯温が高い:茶葉の成分が早く多く溶け出し、香りが高く立ち、茶湯は豊かになりますが、苦みや渋みも多く出ます。
- 湯温が低い:溶け出し方がゆっくりで、苦みや渋みが少なく口当たりは柔らかいものの、香りと厚みが足りないことがあります。
プーアル茶に95~100°Cの熱湯を使うことが多いのは、大葉種の茶葉が肉厚で、香りと味わいを完全に引き出すには高温が必要だからです。新しい生茶の苦みや渋みがはっきりしているときは湯温を90°C前後に下げてもかまいませんが、熟茶と古い茶には必ず沸騰したお湯を使いましょう。
注ぎ方
- 碗の縁に沿って注ぐ:水の流れが蓋碗の内壁を伝って落ち、茶葉に直接当たらないので、茶湯が柔らかくなります。新しい生茶に向いています。
- 狙いを定めて注ぐ:水の流れを直接茶葉に当てると、固く圧されたお茶がほぐれやすくなります。龍珠や固く圧した磚茶の最初の数煎に向いています。
- 高く注いで低く注ぎ分ける:お湯を注ぐときは注ぎ口を少し高くして茶葉を動かし、お茶を注ぎ分けるときは注ぎ口を低くして、茶湯が泡立ったり香りが逃げたりしないようにします。
台湾の水:北部は軟らかめ、南部は硬め
台湾の水道水は法律により『飲用水水質基準』を満たさなければならず、そのうち総硬度の上限は1リットルあたり300ミリグラム、総溶解固形物(TDS)の上限は1リットルあたり500ミリグラムです。この範囲内でも地域ごとの水の差は実は小さくなく、主に水源が流れてくる地質によるものです。
- 台北一帯:水源の多くは翡翠ダムと新店渓で、報道によれば台北の原水の平均総硬度は1リットルあたり約74ミリグラムと軟らかめで、お茶を淹れるのにとても向いています。
- 高雄一帯:水源の多くは高屏渓で、同じ報道によれば高雄の平均総硬度は1リットルあたり約247ミリグラム、一部の浄水場では300ミリグラム近くになり、湯沸かしポットにとくに白い水あかがたまりやすくなります。
硬度が高いからといって水が悪いわけではなく、カルシウムやマグネシウムが多めだというだけです。お茶を淹れる場合、カルシウムやマグネシウムは茶湯の成分と結びつき、湯色をくすませ、香りを控えめにします。そのため水がやや硬い地域に住む茶好きは、浄水器を使ったり、軟らかめのボトル入りの水でお茶を淹れたりすることがよくあります。
TDSメーターの数字の読み方
市販されている小さなTDSメーターは、水に差し込むと数字が表示されます。単位はppm(1リットルあたりのミリグラムにほぼ相当)です。測っているのは水に溶けているすべての物質の総量で、水が「軽い」か「重い」かの目安になります。
- 数字がとても低い(たとえば逆浸透水や蒸留水で、一桁から20~30程度のことが多い):お茶の香りははっきりしますが、茶湯が物足りないと感じる人もいます。
- 中くらいの数字(一般的なろ過した水道水、多くの軟水のミネラルウォーター):多くの茶好きがもっともバランスがよいと感じる範囲です。
- 数字がとても高い(一部のミネラルウォーター、硬水地域の水道水):湯色がくすみやすく、香りが抑えられます。
TDSはあくまで総量で、硬度と同じではありません。同じ数字でもミネラルの組成が違えば、淹れたお茶も違ってきます。いちばん確かな方法は、やはり同じお茶を同じ茶葉の量と時間で、何種類かの水で並べて淹れ、自分の舌で決めることです。
水あかと茶器
水がやや硬い地域では、湯沸かしポットにも蓋碗にも白い水あかが残りやすくなります。水あかそのものはカルシウムやマグネシウムの沈着で、手入れは簡単です。湯沸かしポットに八分目まで水を入れ、クエン酸を大さじ1~2杯加えて沸騰させ、30分から1時間浸けてから捨て、さらに水だけで1~2回沸かします。定期的に水あかを取れば、沸かしたお湯の口当たりもすっきりします。茶器の日常の手入れは茶器の手入れをご覧ください。
よくある質問
電気ポットのお湯でプーアル茶を淹れられますか? 淹れられますが、電気ポットの保温温度は90°C前後のことが多く、熟茶や古い茶を淹れるには温度が足りないことがあります。もう一度沸騰させるのがおすすめです。
ウォーターサーバーのお湯でもいいですか? ウォーターサーバーのお湯はたいてい沸点に達していないので、三角ティーバッグを淹れるのに向いています。茶葉のプーアル茶を淹れるなら、沸騰させたお湯がおすすめです。
TDSが低いほどお茶に向いているのですか? そうとは限りません。TDSのとても低い純水で淹れたお茶は香りがはっきりしますが、茶湯は薄めになることがあります。中くらいで軟らかめの水がもっともバランスがよいと感じる人が多いので、自分で並べて比べてみるのがいちばんです。
水が硬めの地域に住んでいる場合、プーアル茶の淹れ方はどう調整すればよいですか? 浄水器でろ過するか、ミネラル含有量の少ないボトル入りの水に替えるとよいでしょう。茶葉の量を少し増やして、茶湯をより豊かにする方法もあります。