勐庫の東半山と西半山:氷島の隣人たち
臨滄・双江の勐庫鎮は、勐庫大葉種のふるさとであり、氷島のある土地でもあります。勐庫鎮の茶園面積は8万ムー近くにのぼり、鎮のほとんどの家がお茶と関わっています。氷島はそのうちの一つの村にすぎず、その周りには集落がぐるりと連なっていて、それぞれに山があり、それぞれに味わいがあります。茶好きはそれらを「西半山」と「東半山」に分けています。
東半山と西半山の分け方
勐庫の地形は、よく「二つの山が一本の川と一つの盆地を挟む」と表現されます。西には邦馬山、東には馬鞍山があり、その間を南勐河が北から南へ流れ、川沿いに勐庫の盆地(壩子)が広がっています。地元の人は南勐河を境にするのが習わしです。
- 川の西側、邦馬山の東斜面を西半山と呼びます。
- 川の東側、馬鞍山の側を東半山と呼びます。
邦馬山はおおむね南北に走る山系で、双江と耿馬の境にあり、主峰が標高3,233メートルの勐庫大雪山です。ですから大雪山そのものは西半山の側にあり、氷島も邦馬山の東斜面、南勐河の西岸にあります。氷島村は川の上流、勐庫の最北端に位置し、村の5つの集落はちょうど川の両岸にまたがっています。老寨、地界、南迫は西半山に、壩歪、糯伍は東半山にあります。
この分け方は地元と茶の世界の慣習によるもので、公式の行政上の境界ではありませんが、勐庫のお茶を知るにはとても便利です。
西半山の集落
茶の世界でよくいわれる「勐庫十八寨」のうち、西半山には10の集落があります。
- 氷島:勐庫でもっとも有名な村。老寨は2025年初めに「氷島老寨茶」として国家地理的表示保護製品に認定されました。
- 懂過:よく氷島と比べられる集落です。
- 大戸賽、小戸賽:小戸賽には「氷島に勝る(賽氷島)」という言い方もあります。
- 壩卡、公弄、邦改、丙山、護東。
- 大雪山:勐庫大雪山一帯の茶園と野生茶の群落を指します。
東半山の集落
東半山には8つの集落があります。
- 壩糯:東半山の代表で、茶の世界では勐庫で古茶樹がもっとも多く残る集落とよくいわれます。
- 那焦、忙蚌、幇読、那賽、東来、忙那、城子。
このほか、氷島村の壩歪と糯伍も川の東岸にあるため、東半山に含めて語られることがあります。
両側のお茶の風味
東西の半山の風味の表現は、茶の世界でも一致していません。ここではよく聞かれる二通りの説を両方紹介します。
- 一説:西半山のお茶は清らかな香りで、芽が太く産毛が多く、味わいは柔らかく豊かで、回甘と生津が早く訪れる。東半山のお茶は苦みが強めで渋みは軽く、茶質はまろやかで厚みがあり、飲み口は爽快で力強い。
- 別の説:東半山のお茶は香りが高く立ち、産毛が目立ち、茶気は比較的弱め。西半山はその逆で、香りは控えめだが茶気が十分にある。
二つの説は一見食い違っていますが、実はあることを教えてくれます。集落ごと、樹齢ごと、季節ごとの違いのほうが、東西の違いより大きいことがよくあるのです。氷島はちょうど川の源にあり、両側の特徴を兼ね備えて甘さも香りもある、という人もいます。決まり文句を覚えるより、自分で並べて一度飲んでみるのがいちばんです。
東西の半山の比べ方
同じ蓋碗を2つ用意し、それぞれに茶葉を5グラムずつ入れます。一つは西半山、もう一つは東半山のお茶です。
- 沸騰したお湯で、同じ時間(たとえば10秒)で注ぎ出します。
- まず湯色を比べ、次にふたの香りをかいで、どちらの香りが先に立ち上ってくるかを書き留めます。
- 茶湯を少量口に含んで数秒置き、どちらが口に入れた瞬間に甘いか、どちらが苦みがはっきりしていてもすぐほどけるかを書き留めます。
- 飲み込んでから10秒待ち、回甘の速さと持続を比べます。
- ぬるくなるまで置いてからもう一度飲むと、甘みと苦みがよりはっきりします。
一度か二度やってみれば、自分が飲んだ二つのお茶が、それぞれどちらの説に当てはまるのかがつかめるでしょう。
東西の半山の淹れ方の目安
| 西半山(氷島、懂過、大戸賽など) | 東半山(壩糯、那焦、忙蚌など) | |
|---|---|---|
| 110ミリリットルの蓋碗に入れる茶葉の量 | 7~8グラム | 6~7グラム |
| 湯温 | 95~100°C | 90~95°Cから始め、様子を見て上げる |
| 1~3煎目 | 10秒前後 | 5~8秒、手早く注ぎ出す |
| 味わいのポイント | 口に含んだときの甘さ、茶湯の柔らかさ | 香り、苦みが甘みに変わる速さ |
苦みがはっきりしたお茶は、茶葉を少なめにして手早く注ぎ出すと、かえって香りがはっきりします。甘く柔らかなお茶は茶葉をしっかり入れると、茶湯がより豊かになります。
勐庫の茶の季節
勐庫の春茶の摘み取りのピークは毎年3月中旬から下旬頃で、勐海より少し遅く、鳳慶より少し早めです。南勐河の谷と山の中腹とでは標高差が大きく、低いところの茶園が先に芽吹き、高いところは1~2週間遅れます。同じ春のうちに、茶農家は低いところから高いところへと摘み進んでいきます。
氷島の由来と老寨の古茶樹
地元でもっとも広く伝わっている話はこうです。明の成化21年(1485年)、勐勐(現在の双江一帯)を治めていた傣族の土司が人を西双版納に遣わし、200粒余りの茶の種を持ち帰らせて氷島に植えたところ、150株余りが根付き、それが氷島の茶園となり、やがて勐庫各地へと広がっていきました。年を1478年とする資料もあります。氷島老寨の古茶樹の多くは家の前や裏に生えており、報道によれば老寨には樹齢100年以上の古茶樹が千株以上現存しています。氷島の5つの集落の詳細は氷島五寨に、老寨の風味は氷島老寨:勐庫の甘さにあります。
勐庫大雪山
勐庫大雪山の主峰は標高3,233メートル。山の中腹から上部、標高2,200~2,750メートルの間には、野生の古茶樹の大きな群落が広がっています。1997年に地元の村人によって発見され、2002年に専門家の調査で確認されました。これは勐庫の茶樹の物語のもう一方の端です。山の上には野生の茶が、山の下には500年余りにわたって人が栽培してきた大葉種があります。詳しくは勐庫大雪山をご覧ください。
西半山の甘さから始めたいなら、蓋碗で氷島老寨 龍珠を一粒淹れてみてください。
よくある質問
問:勐庫の東半山と西半山は何で分けるのですか?
答:南勐河を境に、川の西側(邦馬山の東斜面)が西半山、川の東側が東半山です。地元と茶の世界の慣習による分け方です。
問:氷島は東半山ですか、西半山ですか?
答:氷島老寨は西半山にあります。氷島村の5つの集落のうち、壩歪と糯伍は南勐河の東岸にあり、東半山に含められることもあります。
問:西半山にはどんな集落がありますか?
答:茶の世界でよく挙げられるのは、氷島、懂過、大戸賽、小戸賽、壩卡、公弄、邦改、丙山、護東、大雪山です。
問:東半山にはどんな集落がありますか?
答:よく挙げられるのは、壩糯、那焦、忙蚌、幇読、那賽、東来、忙那、城子です。なかでも壩糯は古茶樹がもっとも多い集落とよくいわれます。
問:東半山と西半山ではどちらが良いのですか?
答:優劣はありません。風味の表現にも異なる説があります。いちばん良いのは並べて飲み、自分の好きなほうを見つけることです。