新しい発酵方法:離地発酵、小堆、温度管理発酵
1970年代に昆明茶廠と勐海茶廠が渥堆を生産に取り入れたとき、そのやり方は発酵室の床に茶を広げ、水を打ち、高く積み上げるというものでした。数十年にわたり、この方法は数えきれない定番の熟茶を生み出してきましたが、改良したい点も残りました。堆の底が床に直接触れること、大きな堆は温度管理が難しいこと、季節の影響を大きく受けることです。そこでさまざまな新しい発酵方法が生まれました。
伝統的な床置きの堆の特徴
- 床:多くはコンクリートやれんがの床で、茶葉をじかに積みます。
- 堆の量:一つの堆で数トンから十数トン。
- 温度管理は切り返し頼み:温度が上がりすぎたら切り返すほかに調整手段はありません。
- 環境の菌叢:長く使われた発酵室は床や壁の菌叢が安定し、茶工場独自の風格になります。
利点は堆の量が多く熱量が十分で、経験が蓄積されていることです。よく挙げられる懸念は、底の茶葉が床に触れて衛生管理が難しいこと、そして大きな堆の中心と縁で発酵度に差が出ることです。
離地発酵とは
離地発酵とは、堆を床にじかに置かず、持ち上げて発酵させることです。一般的には発酵室に木の板の台、竹棚、ステンレス棚を組み、その上に茶葉を積んで発酵させます。
- 清潔:茶葉が床に触れず、床のほこりや異物が減ります。
- 通気:底からも空気が通り、堆の上下の温度が比較的均一になります。
- 管理しやすい:掃除も点検もしやすくなります。
離地発酵は、板の台の耐荷重や面積に限りがあるため、比較的少ない堆の量と組み合わせることがほとんどです。多くの茶工場やブランドが「離地発酵」をセールスポイントにしており、風味は一般にすっきりしていて堆味が軽いと言われます。
小堆発酵の利点
小堆発酵とは、伝統的な大堆よりはっきり少ない量で発酵させることで、一般に数百キロから1〜2トンです。
- 貴重な原料に向く:古樹や単一山頭の原料は量が少なく大堆にできませんが、小堆なら単独で発酵させ、産地の個性を残せます。
- 管理しやすい:温度や湿度の変化をつかみやすく、切り返しも楽です。
- 制約:堆が小さく熱量が少ないので温度が上がりにくく、より丁寧な保温が必要で、ときには発酵室の環境で加温することもあります。
古樹熟茶や山頭熟茶には小堆が多く使われます。渥堆の原料:熟茶に向く毛茶とはをご参照ください。
発酵設備と伝統的な床置きの違い
新しいタイプの発酵室には環境制御の設備が加わっています。よくあるものは次のとおりです。
- 温湿度管理:空調・加湿・除湿の設備で、発酵室の温度と湿度を設定範囲に保ちます。
- 発酵箱・発酵槽:温度管理のできる箱や槽にお茶を入れて発酵させ、自動で混ぜ返せるものもあります。
- センサーと記録:堆の中に温度・湿度のセンサーを入れて連続的にデータを記録し、人が温度計を差し込む作業に代えます。
- 接種発酵:特定の菌株を加えて発酵の方向をより予測しやすくするもので、今のところまだ少数です。
2026年に発表されたある研究では、4種類の発酵方法を比較しています。デジタルで温湿度を管理した発酵は約28日、伝統的な小ロット発酵は約35日、2つの茶工場の伝統的なやり方はそれぞれ約39日でした。温度管理発酵は日数を短縮しましたが、方法によって微生物の構成や製品の風味にも違いがありました。
新しい製法の熟茶は味が違うのか
違いますが、必ずしも良し悪しの差ではありません。
| 伝統的な床置きの大堆 | 離地・小堆・温度管理発酵 | |
|---|---|---|
| 堆味 | 新茶でははっきりしており、寝かせが必要 | 比較的軽く、すっきりしていることが多い |
| 風格 | 重厚でまろやか、茶工場特有の「工場の味」 | 爽やかで甘くなめらか、個性は設定次第 |
| 一貫性 | 職人の経験次第で、季節の影響が大きい | パラメーターを管理でき、ロット差が小さい |
| 向いているもの | 大量生産、定番の配合 | 小ロット、山頭の原料、特色ある製品 |
定番熟茶の重厚な風格が好きな茶好きは、新しい製法のお茶を「きれいすぎて奥行きが足りない」と感じることが多く、熟茶を飲み始めたばかりの人は、新しい製法の爽やかさと堆味の少なさを好むことがよくあります。これは好みの問題です。
発酵の製法は包装に書いてあるか
「離地発酵」「小堆発酵」「古樹熟茶」と包装や説明に書くブランドもありますが、定番熟茶の多くはとくに記載していません。知りたい場合は、売り手に原料の産地、発酵方法、出堆の時期を尋ねてみてください。渥堆の基本原理は渥堆:熟茶はこうして生まれるで、堆の中の微生物は渥堆の微生物で紹介しています。
よくある質問
離地発酵とは何ですか? 堆を板・竹棚・金属棚の上に持ち上げて発酵させる方法で、茶葉が床に触れず、通気もよくなります。
小堆発酵の利点は? 量が少なく貴重な原料に向き、温湿度を管理しやすく、産地の個性を残せます。欠点は熱量が少なく温度が上がりにくいことです。
温度管理の発酵室は伝統的なものとどう違いますか? 設備で温度と湿度を管理して連続記録するため、発酵日数が短くなることが多く、ロットもそろいやすくなります。
新しい製法の熟茶のほうがおいしいですか? 風格が違います。新しい製法はすっきりして堆味が軽いことが多く、伝統的な大堆は重厚でまろやかです。好みはそれぞれです。