生茶はどう熟成するか:熟成の過程と段階
圧したばかりの生茶は、茶湯が黄緑色で、香りは弾けるようで、口に含むと力強さがあります。これを大切にしまっておき、5年、10年後に淹れると、水色は橙赤色に変わり、香りは落ち着き、苦渋みもほどけています。この目に見えない変化が、茶の世界で言う「熟成(陳化)」です。
工場から出たばかりの新しい生茶の姿
生茶の原料は晒青毛茶です。生葉を殺青・揉捻した後に日光で乾燥させ、さらに蒸して圧し餅茶にします。国家標準では製品の水分を13%以下と定めているので、出荷されるお茶は乾いていますが、「静止」しているわけではありません。葉の中の茶ポリフェノール、カテキン、アミノ酸、糖類、香り成分は、長い保存の間もゆっくりと反応を続けます。晒青がなぜ後の変化にとって重要なのかは、晒青・烘青・炒青をお読みください。
熟成は発酵か、酸化か
茶の世界ではプーアル茶を「後発酵茶」に分類するのが習わしで、生茶の自然な熟成も「ゆっくりした発酵」と呼ばれることがよくあります。ただしここでの「発酵」にはかっこをつける必要があります。乾燥した環境に置かれた生茶は水分が少なく、微生物が盛んに活動するのは難しいからです。
現在、研究者の間で比較的多い見方は、生茶の熟成はポリフェノール類のゆっくりとした酸化・重合が中心で、空気中の酸素、温度、湿度が反応を推し進めており、微生物もそこに関わっていて、湿度が高いほど関与が大きくなるというものです。一般的な貯蔵条件のもとで微生物を追跡したところ、変化にはっきりした規則性は見られなかったという研究もあります。言い換えれば、清潔な乾倉は「ゆっくり酸化する」に近く、湿った倉ほど「微生物が手伝う発酵」に近づくということです。このテーマはまだ研究途上で、化学的な詳細は生茶の熟成の化学にまとめています。
三つの段階:新茶期、変化期、熟成期
温湿度が安定した清潔な保管を前提とすると、生茶の変化はおおむね三つの段階に分けられます。
| 段階 | おおよその年数 | 水色 | 香り | 味わい | 葉底 |
|---|---|---|---|---|---|
| 新茶期 | 0〜3年 | 黄緑、淡い金色 | 花の香り、蜜の香り、青い香り | みずみずしく、苦渋みがはっきり | 黄緑で柔らかい |
| 変化期 | 約3〜10年 | 金色から橙黄色へ | 蜜の香りが熟し、果実の香りや陳香が出てくる | 苦渋みが和らぎ、甘みと厚みが増す | 黄褐色 |
| 熟成期 | 10年以上 | 橙赤色、琥珀色、栗色がかった赤 | 木の香り、樟香、ナツメの香りなどの陳香 | まろやかでなめらか、回甘が深く長い | 栗褐色、赤褐色 |
年数はあくまで目安です。同じお茶でも、高温多湿の場所に置けば何年も早く、乾燥して涼しい場所に置けば何年も遅くなることがあります。
色・香り・味わいはそれぞれどう変わるか
- 色:茶湯の色素類の物質(テアフラビン、テアルビジン、テアブラウニンの類)が年々蓄積し、水色は黄緑から橙赤色へと進んでいきます。乾燥茶葉の色も、深緑や灰緑から褐色がかった赤へと変わります。
- 香り:新茶の花の香りや青い香りは比較的軽く揮発しやすい香り成分で、まず減っていきます。その後、果実の香りや蜜の香りが熟し、さらに木の香りや陳香の方向へ進みます。香りの源は香り成分をご覧ください。
- 味わい:茶ポリフェノールとカテキンが年々減り、それにつれて苦渋みが和らぎます。口当たりは厚くなめらかになり、甘みがはっきりしてきます。
転換点はいつか
研究の答えは近いものの完全には一致しません。研究ごとに使ったお茶や保存場所が異なるからです。
- 長年保存した7542を追跡したある研究では、3年目と8年目前後に成分の変化が比較的はっきりしていました。
- 1〜10年保存した生茶を分析した別の研究では、香り成分は3年目ごろにもっとも豊かになり、8年目前後に木の香りや陳香系の特徴的な香りが現れました。
- 広東で保存した生茶の0〜10年の香りを比べた研究もあり、3〜4年前後に花や果実の香りがはっきり浮かび上がり、10年前後に木の香りが増えることがわかりました。
これらをあわせて見ると、3〜4年と8〜10年がよく挙げられる二つの転換期です。プーアル茶の熟成と年代の時間表とも一致します。
熟成を速めるもの、遅くするもの
- 湿度:雲南の地方標準の多くは相対湿度70%を保管の上限としており、中国茶葉流通協会は55%〜75%を推奨しています。湿度が高いほど変化は速くなりますが、境界を超えると倉味が出たり、カビが生えたりしやすくなります。
- 温度:流通協会は20〜25°Cを推奨しています。温度が高いと反応が速くなり、寒暖の差が大きいと結露しやすくなります。
- 圧しの締まり具合:鉄餅や固く圧した磚は変化がゆっくりで、手作業の石型で圧した餅茶はゆるめなので変化が速くなります。
- 原料:含有成分が豊かで骨格のあるお茶は、変化した後も飲みどころが残ります。
- 空気:完全に密封すると変化は緩やかになり、適度な空気の入れ替えがあるとお茶は進み続けます。
自分のお茶を家で観察する
好きな生茶を一枚買い、毎年決まった月に小さく崩して、同じ茶葉の量と湯温で淹れ、水色・香り・味わい・葉底を記録してみましょう。3〜5年後にノートを開けば、そのお茶がたどってきた道が見えてきます。保存の基本はプーアル茶の家庭での保存方法にあります。
よくある質問
生茶は置いておくとどう変わりますか? 水色は黄緑から橙赤色に、香りは花や蜜の香りから木の香りや陳香へと変わり、苦渋みが和らいで口当たりが厚くなります。
熟成は発酵ですか、酸化ですか? 清潔で乾燥した保管ではゆっくりした酸化が中心で、湿度が高いと微生物の関わりが大きくなります。研究はまだ進行中で、両方の働きがあります。
生茶はどれくらい置くとはっきり変わりますか? よくある転換点は3〜4年と8〜10年前後ですが、実際の速さは保管条件によります。
熟成にはいくつの段階がありますか? 一般に新茶期(0〜3年)、変化期(約3〜10年)、熟成期(10年以上)の三段階に分けられます。